世界地図から陽が昇る

会社員兼料理文献研究家遠藤のブログです。音食紀行(http://onshokukiko.com/wpd1/)を主催。好奇心に基づいて色々書き綴ります。

【コンサート】2016年1月17日(日)Virgo MARIA 聖母マリア 於:聖母病院聖堂

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『Virgo Maria 聖母マリア

2016年1月17日(日)13:30開場/14:00開演
聖母病院 聖堂(新宿区)

高橋美千子 ソプラノ
品川 聖 ヴィオラ・ダ・ガンバ
寺村朋子 チェンバロ

《プログラム》
クレメンス・ノン・パパ 悲しみに囲まれ
セルミジ        サルヴェ・レジナ
ドゥマシ        ヴィオル曲集より、組曲 第1番 プレリュード
フランソワ・クープラン 私を見て(聖母マリアに敬意を表して)
              神よ、どのように感謝できましょう
 - 休 憩 -
ルイ・クープラン    フローベルガー氏を模したプレリュード
シャルパンティエ          スタバト・マーテル
マラン・マレ                ヴィオル曲集第3巻より、嘆き
カンプラ                      サルヴェ・レジナ
ド・ブッセ                   詩篇83より、第1カンタータ 抜粋

Encore
グノー                         アヴェ・マリア

  久々になってしまいましたが、コンサート聴いてきました!先日音食紀行でコラボした品川聖さんと私のチェンバロの先生である寺村朋子さんと高橋美千子さんのコンサートです。

 発端

 2014年に品川さんが生まれた場所でもある聖母病院聖堂でコンサートされたのですが、その情報をパリ在住の高橋美千子さんが聴いて、実は高橋さんも聖母病院でお生まれになったということで、これをご縁に何かコンサートができればと動き出し、今回実現の運びとなりました。バロックコンサートにあたり、普段品川さんとチェンバロでコンサートを行なっている寺村先生に白羽の矢が立てられ、3人編成となりました。

コンセプト

 聖母病院の聖堂での開催のため、16〜18世紀のフランス作曲家による宗教曲、特に聖母マリアにまつわる題材のものをプログラムにまとめたこのコンサート。聖母マリアを讃えるフランス宗教音楽の美しいハーモニーと普段はあまり演奏されない精力的な曲目で聖母マリアの癒しを届けられる空間を作るという非常に贅沢かつチャレンジングなコンセプトでした。

大入り満員

 初めての聖母病院聖堂でしたが、200人以上の聴衆という大入り満員でした。古楽コンサートは楽器の特性上、ホールのキャパは小さくて30名ほど、大きくて100名程度のため、こんな3人編成で200人以上の集客ができるのは驚きとともに、どこから集まったのだろうと疑問に思ったりもしました。学生の姿も多く、きっと某大学のレポートの一環としてコンサート鑑賞があったのでしょう。

プログラム編成

 今回のプログラムから作曲家の時代を確認しておきましょう。

クレメンス・ノン・パパ (1510/15頃 - 1555/56)
セルミジ        (1490頃 - 1562)
ドゥマシ        (17世紀後半)
フランソワ・クープラン (1668 - 1733)
-休憩-
ルイ・クープラン    (1626頃 - 1661)
シャルパンティエ            (1643 - 1704)
マラン・マレ                   (1656 - 1728)
カンプラ                          (1660 - 1744)
ド・ブッセ                      (1703 - 1760)

 場所はほとんどフランス特にパリ、またはフランドル(オランダ、ベルギー、フランスにまたがる地域)楽派の作曲家をプログラムに配置して、時代も1500年前後のルネサンス音楽から始まり、時間を進めてバロック期に入り、1600年代前半後半そして18世紀にまで及んでいます。

 編成においては基本、ソプラノ、ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、クラヴサンチェンバロ)の3人編成となり、2曲終えた後のドゥマシでガンバソロ、クープランの2曲で3人編成に戻り、後半最初のルイ・クープランチェンバロソロ、マラン・マレでガンバ、チェンバロの二重奏、そしてソプラノが入り3人編成に戻ります。

 見ての通り、歌を支える通底という編成で基本進むものの途中でそれぞれのソロ、後半にチェンバロとガンバの二重奏が入り、一本調子ではなく音楽的にも編成的にも聴衆を飽きさせない工夫を凝らしたプログラムとなりました。

雑感

 非常にチャレンジングなコンサートと上述しましたが、なかなか聴けないフランスのルネサンス期宗教声楽曲2曲から始まったので、そういってもいいでしょう。会場の聖堂は天井が高く、声の響き伸びも特に良かったですが、会場の空間と声とそれを下支えする通奏低音の重厚な音楽で一気にその世界(観)に入り込めました。

  クレメンス・ノン・パパとセルミジの2曲から神の哀れみ、マリアへの賛歌の音楽の響きを堪能し、ドゥマシでガンバの音色の美しさ、旋律の壮大さをじっくり聴いて、フランソワ・クープランへ。クープランの宗教声楽の甘美なさまを味わい、休憩へ。

 休憩後、フランソワの叔父にあたるルイ・クープランチェンバロソロで幕を開けました。前半から寺村さんのチェンバロが下支えしつつもとにかく耳心地が良く、印象に残るフレーズでの美しさ力強さを醸し出していましたが、このチェンバロソロでチェンバロの楽しみが垣間見れる曲となりました。

 その後、シャルパンティエで悲しみに暮れる聖母をしっかりと歌い上げ、品川さん寺村さんデュオでマラン・マレへ。ドゥマシやガンバを演奏する品川さんは安定と信頼というべき、聴いていて古楽の楽しみ味わいを感じられますが、そこに寺村さんのチェンバロの響きが混じり合い、マラン・マレの音楽の素晴らしさを随所に味わえました。

 カンプラで再度、3人編成へ。ここではカンプラのマリア賛歌「サルヴェ・レジナ」を堪能できます。最後にド・ブッセ。18世紀パリで活躍したオルガン奏者。レシタティフ(詠唱)とエール(アリア)が交互に表れる構成で第1カンタータ。高橋さんの魅力は声の響き、美しさでしょうか。フランス古楽の声楽の魅力を随所に聴かせてくれるものでした。

  アンコールにグノーのアヴェ・マリア。最後まで聖母マリアに則ってコンサートは幕を閉じました。

 

 高橋さんがパリ在住ということもあり、貴重なコンサートとなりました。場所の聖母病院の聖堂も天井が高く、声の通りも良く、人が想像以上に多かったのがびっくりでしたが、じっくり演奏が聴けるいいコンサート会場でした。

 次の機会が楽しみです。

 コンサート会場

聖母病院 - 聖堂:東京都新宿区中落合の総合病院

〒161-8521 東京都新宿区中落合2-5-1

電車でお越しの場合

西武新宿線下落合駅下車 徒歩7分
西武池袋線椎名町駅下車 徒歩10分


地図

プロフィール

高橋美千子 ソプラノ Michiko Takahashi

 東京藝術大学卒業後、アンサンブル・プラネタとしてCDデビュー。波多野睦美つのだたかし氏より古楽の手ほどきを受け、2007年モンテヴェルディオルフェオ』でバロックオペラデビュー、清新な歌唱と演技を評される。
その後、2009年よりパリを拠点に活動。 イェール市立音楽院、パリ市立高等音楽院古楽科で研鑽を積む。A・メロン、H・クルック、I・プルナールに師事。フランス宮廷音楽やイギリスのリュートソング、17世紀イタリア音楽から現代音楽委嘱作品までレパートリーは幅広い。2015年秋には日本各地でドミニク・ヴィス氏とのデュオ・コンサートを行う。パリ在住。

東音企画|コンサートマネジメント

品川聖 ヴィオラ・ダ・ガンバ Hijiri Shinagawa

 1999年桐朋学園大学音楽学部古楽器科(ヴィオラ・ダ・ガンバ専攻)卒業後、ベルギーブリュッセル王立音楽院に留学。ヴィオラ・ダ・ガンバヴィーラント・クイケン氏に師事。2003年ディプロマを取得し首席で卒業。 2001年ソロ・デビュー以来、ソロを中心に各地でコンサート活動を展開。また2006年より「J.S.バッハ:ガンバ・ソナタ全曲」のコンサートを毎年開催している。今までに3枚のソロCDをリリース。東京古典楽器センター講師。 日本ベルギー学会会員および日本ヴィオラ・ダ・ガンバ協会会員。  国や時代やジャンルにとらわれない独自な音楽活動を展開。

寺村朋子 チェンバロ Tomoko Teramura

 東京芸術大学音楽学部チェンバロ科卒業。同大学大学院修士課程修了。チェンバロ通奏低音を、山田貢、鈴木雅明の両氏に師事。第7回古楽コンクール・チェンバロ部門第2位入賞。イタリア、オーストリーベルギーなど国内外のアカデミーに参加し研鑽を積む。NHK「FMリサイタル」出演、その他多くの団体と様々な演奏活動を行う。
トリム楽譜出版より1999年「フルート・バロックソナタ集」、2002年「J.S.バッハ作品集」(2009年再版)を編曲、出版。小金井アネックス(宮地楽器)チェンバロ科講師。

CD紹介

 

 

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